第30回 よしかわ憲法サロン 学習会内容報告
日時/場所: 2017/2/25 (土) 13:30 ~ 16:00 おあしす内容: 「日米安保条約と日本の基地」
講師: 柴山 敏雄さん
Ⅰ.講義内容の要旨
柴山さんに、日米安保条約のできるまでの流れと安保体制の仕組み・現状について説明してもらいました。1.日米安保体制の成立(1946年~1960年)
1-1 憲法9条の原点
「9条2項において、自衛権の発動としての戦争も交戦権も放棄したのであります」吉田茂首相。衆議院本会議。1946.6.26
1-2 アメリカの戦略転換・・・日本を「反共主義の防波堤に」
「どこに侵略が起きても、直接・間接を問わず平和が脅かされる場合には、アメリカ国防にかかわるものとみなす。」 トルーマン・ドクトリン 1947年3月「日本の再軍備を計画準備しなければならない。この軍隊は、アメリカにより組織され、初期の訓練を受け、厳格に監督されなければならない。国内の治安維持、外部からの侵略に対する防衛行動が目的。日本国憲法は改正する必要がある」
ロイヤル陸軍長官から国防長官への覚書。 1948.5.18
1-3 占領から講和 米軍基地の継続
「日本国民の自由意思に従い、平和的傾向を有し、責任ある政府が樹立されたら、連合国の占領軍は直ちに日本国より撤収する」ポツダム宣言 1945.7.26連合国の全ての占領軍は、この条約の効力発生の後90日以内に撤退しなければならない。但し、この規定は、連合国と日本の間に締結された協定に基づき、日本の領域における駐屯・駐留を妨げない」サンフランシスコ講和条約 6条a) 1951.9.8
1-4 基地国家日本の誕生
沖縄が日本から切り離され、アメリカの全面的な軍政下に引き続きおかれた。 講和条約 第3条。旧日米安保条約成立 1952.4.8 日本本土に米軍が残り、自由に基地使用が認められた。
吉田首相一人で署名。
旧安保条約の特徴と問題点
・アメリカは日本の再軍備を期待。 警察予備隊(1950) → 保安隊(1952) → 自衛隊(1954)
・「日米行政協定」の調印
アメリカは日本のどの地域も条約上、無制限に基地として利用できる。「全土基地方式」
アメリカの軍人・軍属・その家族が犯した犯罪の裁判権は全てアメリカに属した。治外法権。
1-5 日本の再軍備とMSA協定(相互安全保障法)
・軍事同盟的要素日米行政協定24条: 日本有事の際、“共同防衛措置”をとる。
旧安保条約は、基本的に基地提供条約であったが、軍時同盟的要素も含んでいた。
・日本の再軍備のため、アメリカは相互安全保障法(MSA)の日本への適用を図る。
1953年7月~
アメリカから軍事援助を受け入れた国は、自国及び“自由世界”の防衛のため寄与することを義務付ける。
アメリカは日本の地上部隊の増強を要求。日本の保安部隊を3年で18万人にした。
アメリカの余剰農産物を日本が購入。その代金をアメリカは積立て、一部を日本の軍需産業に投資。 「MSA協定」調印。1954年3月
2.1960年安保条約全面改定、その特徴
・基地使用特権の継続 = 「全土基地方式」継続。 (第6条)・軍事同盟。(第5条): 日本国の施政下にある領域において攻撃があった場合(日本有事)、米軍
と自衛隊の共同作戦が可能になった。
・軍事力増強の義務(第3条):武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を維持発展させる。
・日米経済協力の規定(第2条)
3.日米安保体制の仕組みと現状 (安保条約6条と日米地位協定)
・安保条約6条:「アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」・日本に133の米軍基地 (米軍専用:84、自衛隊と共用:49)。
米軍人 48,000人、 家族 18,000人、 計66,000人が米軍基地に配属。
1980年120基地に比べ、現在の133基地ノ面積は2倍。 米軍基地の74%が沖縄に集中。
・海外の米軍人の配属
1990年 海外全体 609,000人 欧州 310,000人 アジア 49,000人
2009年 海外全体 263,000人 欧州 79,000人 アジア 26,000人
海外全体 40%に縮小 欧州 1/4に縮小 アジア 半減
日本では、変化はない。
・米軍専用空域
横田エリア(一都八県:東京・栃木・群馬・埼玉・神奈川・新潟・山梨・長野・静岡)にまたがる空域と嘉手納ラプコン(沖縄本島のほぼ全域)という米軍専用空域が設置されている。
日本の旅客機は、この空域では米軍の許可なしに飛行できない。そのため、回り道したり、危険な急上昇をして、この空域を回避する飛行をしている。
・在日米軍基地 (首都圏に大規模な基地)
横須賀(原子力空母の母港、海軍基地)、横田(空軍基地)、厚木(海軍航空基地)、
座間(陸軍キャンプ)、相模原(陸軍補給基地)
沖縄、岩国(海兵隊基地):海兵隊は日本防衛の軍隊ではない。攻撃専門の部隊。
・深刻な社会問題
夜間発着訓練、低空飛行訓練。(騒音、事故)。これら訓練は米国内では、制限されている。
・在日米軍の意味
他国への介入、干渉、攻撃が主たる任務の軍隊。「日本を守る部隊」なのか?
ベトナム戦争時:ベトナム攻撃の発着基地。
・「日米地位協定」の内容と性質
米軍の日本における特権が許されている拠りどころ。
旧安保条約の「日米行政協定」を引き継いだもの。60年安保条約 第6条に基づく。
3つの内容
1) 基地の提供・設定(協定2条)
米軍基地をいつでも日本全国どこにでも自由に作ることが可能
2) 基地の維持
基地内は完全に米軍の支配下に置かれる。
3) 軍人・軍属の特権・特典
日本への自由な出入国。刑事・民事責任の大幅な免除。
公務中の犯罪・事故の場合、第1次裁判権はアメリカにある。(協定17条)
公務外の犯罪でも、起訴前に容疑者の身柄を日本側に引き渡すことはできない。
日本政府の責任がなくても、米兵の事件・事故に対し、賠償金や見舞金の25%を日本政府 が負担。(協定18条)
その他の性質
・米軍の基地使用料は無料 (協定24条)
・基地内の環境汚染(重金属、化学物質)にアメリカは責任を負わない。(協定4条)
Ⅱ.参加者のご意見、感想
・日米地位協定の中で定められている「日米合同委員会」という会議体がある。日本の高級官僚6名と米軍高級官僚6人の委員会で、機密裏に重要なことが決められている。月2回、日米交互に開催。鳩山首相もこの会議体で決まったことを知らなかったという。・アメリカ本土では許されないこと(夜間発着訓練、低空飛行等)が、沖縄ではどうして許されるのか、国民のほとんどはピンときていない。
・今回の説明を聞いて、米軍に対する厚遇を知り、怒りが湧いてくる。事実を皆に知らせることが大切と思う。
・戦争を経験した人間と経験しなかった人間と感じ方は違う。米国に守ってもらっていると感じている若者はたくさんいる。
・日本では公にしないで、アメリカで公開されて初めて知るような情報がたくさんある。
・戦後の日本の形を決める上で、昭和天皇の果たした役割は大きい。昭和天皇は、アメリカに日本を守って欲しいとマーッカーサーに伝えた。
・「日本は戦争に負けてよかった。幸福になった。平和憲法があったお陰で戦後70年、平和を保てた」と言う人は多い。特に女性。
・事実を知ることが大事。気づけば分かってくれる人がたくさん出てくる。
・今日の説明で日米安保の成り立ちがよく分かった。現在、世界で戦争の危機が高まっている。
兵器の能力も数十年前とははるかに違っている。安倍政権は共謀罪を通して、反対意見を抑えようとしている。自衛隊の戦力をアップさせて戦争の準備をしている。日米安保を破棄していくことが大事。
・安倍さんは、カジノ、原発再稼働、原発輸出等大変なことを進めている。国民の多くは、沖縄ならいいや、福島ならいいや、共謀罪も一般の自分たちには大丈夫だろうと思っている。
なんで黙っているのだろう。なんで、こんなに支持率が高いのだろう。
・学習して事実を学んでいくことは大事。安部首相や桜井よしこ氏達はあせっている。経済成長は見込めない、輸出産業は原発しかない、非正規、長時間労働、教育(愛国心)。反対できないような体制作りを進めている。
・安保条約。日本はそうせざるを得なかった状況も考えないといけない。現状を否定すればバラ色の将来があるという考え方はだめ。否定だけではだめで、対案を持つことが大事。
・今日は勉強になった。日本も、50~60年前はずいぶんエネルギーがあった。安保、全学連の時代、赤坂のデモに出くわしたが、怖いと感じたほど。今はない。韓国の弾劾裁判、香港の運動に比べると日本は継続性が足りないと感じる。
・マスコミがびびっている。アメリカと日本のマスコミの違いを感じる。
・大阪の森友学園問題。安倍首相の本質を表している。皆がおかしいと感じられたらいい。
・米国、ヨーロッパの人たちは声を挙げている。自分は怒りがなえてきてしまっているが、認識から行動へ。行動しながら、普通の国民が怒っている事を示し続けていくことが大事。
以上
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