第23回よしかわ憲法サロン 7月学習会内容報告 報告:栗原明一
・日時、場所:2016・7・16(土)13:30~16:00 おあしす セミナールーム3
・学習会内容:「自民党の改憲草案を考える その③」 ・講師:清川久基さん
・講義内容
自民党改憲草案を考えるシリーズの3回目、最後の講義であった。現行憲法にはない、つまり新設された「第九章 緊急事態」、そして「第十章 改正」、「第十一章 最高法規」について清川氏から内容説明と問題点の指摘がなされた。
1.
第九章 緊急事態:清川氏の説明を聞いて、「緊急事態」の内容が「9条の国防軍の
創設」に匹敵する重大な変更、つけ加えであるということが理解できた。原文を見ていない方のためにその一部を紹介する。また忘れてはならない内容なので( )にしてみた。
[緊急事態の宣言]
第98条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの( ① )攻撃、( ② )による社会秩序の混乱、地震等による大規模な( ③ )災害( ④ )の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、( ⑤ )の宣言を発することができる。 (第2項、第3項省略)
[緊急事態の宣言の効果]
第99条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、( ⑥ )は( ⑦ )と同一の効力を有する( ⑧ )を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な( ⑨ )その他の( ⑩ )を行い、( ⑪ )の長に対して必要な( ⑫ )をすることができる。 (第2項省略)
第3項
緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、
当該宣言に係る事態において国民の( ⑬ )、身体及び( ⑭ )を守るために行われる措置に関して発せられる( ⑮)その他( ⑯)の機関の( ⑫ )に従わなければならない。(第4項省略)
※①武力、②内乱、③自然、④その他、⑤緊急事態、⑥内閣、⑦法律、⑧政令、⑨支出、⑩処分、⑪地方自治体、⑫指示、⑬生命、⑭財産、⑮国、⑯公
時の内閣が緊急事態だと言い、総理大臣が宣言すれば、どのような法律があってもその法律に関係なく新たな指示・命令が国や警察、あらゆる公の機関から出されそれに従わなくてはならないことになる。これがこの日、講師はじめ参加者の話を総合した結論である。清川氏の資料には「小林節氏の意見」として「要するに、この緊急事態条項は、(略)日本国憲法そのものを停止させ、独裁制度に移行する道を敷くのと同じ」とあった。多くの参加者は同感であると思う。
2.第十章 改正:憲法改正の発議が現行の三分の二以上の賛成から、自民党改正案では過半数の賛成になった。このことについて清川氏は資料で「憲法の価値を貶める暴挙」と書いている。私も、硬性憲法を政権の都合で変えてはならないと言いたい。
3.第十一章 最高法規:自民党改正案は現行憲法の第97条を削除した。「(略)基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、(略)、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」(現行憲法97条)
「緊急事態条項を付け加えて、この条文を削除してしまうなんて、人権をなんだと思っているのか。個人の権利の尊重は日本の伝統・文化にそぐわないという彼らの論理は、この条文を抹殺してしまうのだ。絶対に許してはならない。」この清川氏の言葉に同感である。